リストラ(TrinityBかなり先の予告編)part2
2012/08/08



 夜の繁華街で生きる女の掟。

《同業者との恋愛禁止》

 もしこれを破ってしまったら、もし弥生目当ての客にそれがバレてしまったら、彼女の指名は減るだろう。同時に学、弥生の両者に危険が及ぶ可能性もある。

 とはいえ学も弥生も、そして彰も、普通ならば楽しい恋愛を経験するお年頃。どんな場所であれ青春は止められないのだ。



「まあ、事実を隠すなんて容易い。バレた時が厄介なだけだ。別れるならその方があたしとしては助かるが、そんな気は毛頭無いんだろ?」


「無い」

弥生
「無いな」


「ならば、どちらかに辞めてもらうしか無いな。今後のために」


「・・・」


「というわけだから。お前、明日から来なくていいよ」


「・・・言うと思った」


「代わりに彰でも雇うか。お前ならそういう問題は回避できそうだからな」


「どうかな」


「姉ちゃん・・・」


「なんだ」


「彰は両刀なんだけど」


「それがどうした」


「んで、俺より手ぇ早いけど」


「そうだね」


「・・・じゃあダメだな。他を探すか」

弥生
「あたしもクビ?」


「辞めたいのか?辞めて学校行くか?」

弥生
「え、嫌」


「なら黙って稼ぎな」

弥生
「わかった。これからもオヤジ共の金毟り取る」


「言い方」

弥生
「セクハラオヤジのケツ蹴りまくる?」


「お前はそれしか無いの?」

弥生
「ソレが無かったらやってられへんわ」


「それで良いんだよ弥生は。そういうのが好きな変態が金落としてくんだから」


「ふーん・・・んじゃ、俺は明日からどうすっかな・・・」


「他のバイトでも探しな」


「・・・他のバイトか」


「そういえば大通りの向こうにバイト募集してる店があったな。ウチとは毛色が違う店だったが」


「マジ?・・・行ってみるかな」


「ふっ・・・まあ、後はとりあえず、学校にでも行けば?当てならあるし、学費はあたしが出してやるよ」


「!」


「人生で一度くらい、普通に年相応な時期はあってもいいだろ」


「じゃあ俺も高校生になろうかな。ふふっ」


「似合わねーな」


「お互い様でしょ」


「制服着てりゃ見えなくもないだろ」


「そうかなぁ・・・」


「まあ、似合う似合わないは別としても、俺も貯金あるし、暇つぶしにでも行ってみようかなぁ。可愛い子に会えそうだし」


「学費は出してやるから貯金はとっておきな」


「そこまで甘えられませんよ」


「うるせーガキ。こういう時は黙って従うんだよ」


「・・・はい。失礼しました姐さん」


「ぷっ」


「というわけだから、くれぐれもガキは作るなよ?」

弥生
「えー」


「えーって何だ」


 お説教から妙な展開へ。

 果たして学と彰は高校生になってしまっても大丈夫なのだろうか?普通の学生としての生活など出来るのだろうか?

 とにかくリストラされてしまった学は、新しいバイトを探す事になったのだが、毛色が違うとはいったいどういう事なのか。




「あ、そうだ。学、彰、1つ忠告」


「なに?」


「何ですか?」


「一応、学校については宛てがあるのは確かなんだが、入学するには試験は受けなくちゃならないからな。勉強はしておけよ」


「・・・」


「ああ、そういう事なら大丈夫ですよ。ね?がっくん?」


「・・・・・・・・」



 本当に、大丈夫なのだろうか・・・?



⇒続く・・・かも?






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