リストラ(TrinityBかなり先の予告編)part1
2012/08/08




「どういう事か・・・あたしの目を見て言ってごらん」


「や・・・弥生と、付き合って、ます」


「そんな事は分かってるんだよ。あたしが聞きたいのはそれじゃない」

弥生
「(学が「ます」って言うた・・・)」


「(がっくん可愛い。ぷくくくっ)」



 とある高層マンションの一室。

 子供が寝静まった深夜、リビングでは仕事明けの夜蝶たちが、雁首揃えて話し合いの真っ最中である。

 向い合せに置かれた大きな革張りのソファーが二つ。

 モダンなデザインのソレの真ん中に、腕も足も組んだ姿勢で腰かけ、まるで女王のような風格を匂わせ君臨している彼女こそ、この部屋の主。

 目の前の同じ造りのソファーには、実の妹とドレッドの新入りを座らせ、その横に赤い髪の弟分を立たせた状態で、話し合いと言うよりはお説教の現場と言った風景である。



「いつからだ?」

弥生
「・・・3か月前?やったかな?」


「・・・まだ日は浅いな。別れるなら今が丁度いいが・・・この弥生だぞ?いったいどういう経緯があればそうなる?」


「・・・そ、それ言わす?」


「言えないような事をしたのか」


「ま・・・まあ」

弥生
「R指定。ぷっ」


「がっくんも男の子だからな。ぷくくっ」


「お前は何を他人事みたいに笑ってんだよ。んでそこの変態。お前どっか行け」


「変態だけど証人だよ?俺は」

弥生
「何が悪いって、お前の下半身が悪い」


「なっ!?自分だって!」


「・・・まったく。お前もそこらの間抜けと同じか」


「って、えぇ〜?・・・つーか責められんの俺だけかよ」


「弥生もだ・・・いいか?お前ら知っての通り、夜の女にはルールってものがある。もちろん、ボーイと言えどそれは同じだ」


「・・・」

弥生
「・・・」


「・・・」


「特に弥生はウチの稼ぎ頭だ。それを喰い散らかしたお前の罪はどのくらい重いと思う?」


「喰い散らかした・・・って」



 主の言いつけを守れなかった2人と、巻き添えをくらった新入りドレッド頭。改めて夜の掟を突き付けられ、黙ってしまった。

 静まり返った部屋に、この場の空気に不似合な子供の寝息が、静かに響いている。

 さてこれからどうすべきなのか。当事者の三人はまったく反省などしていなかった。


⇒part2に続く






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