妬いてない?(TrinityB予告編) |
学 「なあ。もう寝た?」 怪我を負った彰が転がり込んだ、高層マンションのとある一室。 男二人が横たわるベッドが、二つ並ぶ狭い部屋。 静まり返った室内に響いた、珍しく遠慮がちな学の声。 何事かと思った彰は、痛みで軋む体をどうにか動かし、声の方へと向きを変えた。 彰 「なに?眠れない?」 学 「いや、ちょっと気になってよ」 彰 「?」 学 「お前が助けたいって言ってたガキって、どんなヤツ?」 彰 「・・・ああ。・・・なんていうか、可愛い?」 学 「・・・」 彰 「っていうか、姐さんにデータ渡してくれたんなら後で確認させてもらえばいいよ。良く出来た綺麗な人形みたいだから」 学 「へー・・・人形ね。っつーか、もう一度会いたい感じか?」 彰 「・・・そうだな。安否は確認したいかな」 学 「そうか・・・もし会えたらどうする?」 彰 「んー・・・どうしよう?」 学 「・・・」 彰 「っていうか何?急に。ジェラっちゃってる?」 学 「は?馬鹿なこと言ってんじゃねーぞハゲ。お前がそこまでしてどうにかしてー相手がどんなヤツなのかって話じゃねーかよ。だいたいなんで俺がそこで妬くんだっつーの、マジ意味わかんねー」 彰 「はははっ、元気になったら楽しみだな。がっくん?」 学 「ぜってー追い出してやる」 彰 「・・・まあ、なんて言うの?俺にとって特別な感じはしたよ。本当に」 学 「・・・ふーん」 彰 「愛だの恋だの言うほど純粋じゃないから、その辺はなんとも言えないけどな。ふっ」 学 「何言ってんだ。お前がマジになる時は、しっかりノンケじゃねーか。知ってんだぞ俺は」 彰 「あれ?そうだっけ?」 学 「ナメんなよ変態」 彰 「でも、つまみ食いはしたよ?少しだけ」 学 「・・・」 彰 「可愛くて可愛くて、手ぇ出さずにはいられなかったよね。ふっ、ふふふっ」 学 「・・・」 彰 「あ、引いてる」 学 「そりゃ引くわ!あたりめーだろこのド変態が!」 彰 「あんま大きい声出したら姐さん達が起きちゃうよ」 学 「くっ・・・!」 彰 「大丈夫。ちゃんと理性は保ったから。一線は超えてないよ」 学 「知るか!んな報告どうでもいいわ!」 彰 「だからヤキモチ妬くなって」 学 「妬いてねーっつんだよ!二度とその変態的発想ができねーようにしてやろうかテメー!」 彰 「ふ、ふふふ、ふははははっ」 学 「笑うな!!」 繁華街では狂犬と恐れられる親友を、からかい笑う手負いの狼(変態)。 可愛いあの子との再会は、学によって後に現実になるのだが、さて怒り心頭の可愛い親友をどう宥めたモノか・・・いやもっとからかって遊んでしまおうか。 怪我さえしていなければもっと楽しめたのにと、少し残念に思う彰だった。 このあと、2人を待っていたのは、まぎれも無いラスボス(華)からの怒声と、中ボス(弥生)からの回し蹴りだった事は言うまでも無い。 |