妬いてない?(TrinityB予告編)
2012/06/18





「なあ。もう寝た?」


 怪我を負った彰が転がり込んだ、高層マンションのとある一室。

 男二人が横たわるベッドが、二つ並ぶ狭い部屋。

 静まり返った室内に響いた、珍しく遠慮がちな学の声。

 何事かと思った彰は、痛みで軋む体をどうにか動かし、声の方へと向きを変えた。



「なに?眠れない?」


「いや、ちょっと気になってよ」


「?」


「お前が助けたいって言ってたガキって、どんなヤツ?」


「・・・ああ。・・・なんていうか、可愛い?」


「・・・」


「っていうか、姐さんにデータ渡してくれたんなら後で確認させてもらえばいいよ。良く出来た綺麗な人形みたいだから」


「へー・・・人形ね。っつーか、もう一度会いたい感じか?」


「・・・そうだな。安否は確認したいかな」


「そうか・・・もし会えたらどうする?」


「んー・・・どうしよう?」


「・・・」


「っていうか何?急に。ジェラっちゃってる?」


「は?馬鹿なこと言ってんじゃねーぞハゲ。お前がそこまでしてどうにかしてー相手がどんなヤツなのかって話じゃねーかよ。だいたいなんで俺がそこで妬くんだっつーの、マジ意味わかんねー」


「はははっ、元気になったら楽しみだな。がっくん?」


「ぜってー追い出してやる」


「・・・まあ、なんて言うの?俺にとって特別な感じはしたよ。本当に」


「・・・ふーん」


「愛だの恋だの言うほど純粋じゃないから、その辺はなんとも言えないけどな。ふっ」


「何言ってんだ。お前がマジになる時は、しっかりノンケじゃねーか。知ってんだぞ俺は」


「あれ?そうだっけ?」


「ナメんなよ変態」


「でも、つまみ食いはしたよ?少しだけ」


「・・・」


「可愛くて可愛くて、手ぇ出さずにはいられなかったよね。ふっ、ふふふっ」


「・・・」


「あ、引いてる」


「そりゃ引くわ!あたりめーだろこのド変態が!」


「あんま大きい声出したら姐さん達が起きちゃうよ」


「くっ・・・!」


「大丈夫。ちゃんと理性は保ったから。一線は超えてないよ」


「知るか!んな報告どうでもいいわ!」


「だからヤキモチ妬くなって」


「妬いてねーっつんだよ!二度とその変態的発想ができねーようにしてやろうかテメー!」


「ふ、ふふふ、ふははははっ」


「笑うな!!」



 繁華街では狂犬と恐れられる親友を、からかい笑う手負いの狼(変態)。

 可愛いあの子との再会は、学によって後に現実になるのだが、さて怒り心頭の可愛い親友をどう宥めたモノか・・・いやもっとからかって遊んでしまおうか。

 怪我さえしていなければもっと楽しめたのにと、少し残念に思う彰だった。


 このあと、2人を待っていたのは、まぎれも無いラスボス(華)からの怒声と、中ボス(弥生)からの回し蹴りだった事は言うまでも無い。








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