みんな仲良し
2010/10/07







 一舞がバンドに加わって初めての夏休み。

 そして、俺と一舞が付き合い始めて最初の休日…。


 せっかくの休みにデートもせずに、バンドの練習なんかしてる。

 実は色々と、初デートの内容を企画してたんだけどな…肝心の一舞が練習したいんだから仕方ない。


〜♪♪


 使い古したキーボードを前に、ため息を漏らしていると…


〜♪♪〜♪


 蓮のベースの音が、ガレージに重たく響く。





「ここは、このほうが…」

一舞
「でも蓮ちゃん、もっとこうドゥルルルルン!って感じのがこの曲には合いそうなんだけど」


「あ?何?もう一回」

一舞
「だからぁ…」




「……………」
(ずいぶん仲良くなったことで…)


 何故だか2人はいつの間にやら仲良くなっている。

 あの殴り合い続きのバイオレンスな日々が嘘のように…………。


 ………若干 妬ける。

 そんな穏やかな空気が流れるガレージ。突然けたたましい音を立て扉が開いた?



「へーい!ピアッサー買ってきたよ〜ん」


「なんだマジでやんのか」


「一舞のたっての願いだからねー」

一舞
「わぁ!洋ちゃんありがとう!」


「この可愛い耳を傷つけるのは忍びないんだけどなぁ…」


「……………」


 俺たちはみんな悪い子の集まりだから、各自漏れなく耳たぶには金属が引っかかっていて、一舞だけがまっさらな耳だということが寂しくて仕方なかったらしい。それで急遽、ピアスを開けることになったんだけど…。


一舞
「……………」


「……どした?」

一舞
「ん…なんか…」


「…怖い?」

一舞
「…そういう感じなのかな…手が動かない」


「わかる。俺も香澄の耳にやってやった時は手が言うこときかなかった」


「やめようか?」

一舞
「…やめない」


「…俺は別にそのままでもいいと思うんだけどな」

一舞
「やだよ、あたしだけ良い子ちゃんみたいじゃん。それに…みんなとお揃いがいいもん」


「……………」
(その拗ねっぷりは可愛いんだけどな…)

 ぶっちゃけ他人の耳に穴が開く瞬間なんて見たくない。



「…貸してみろ」


 その時だった。蓮が、ピアッサーを持っている一舞の手を取った。


一舞
「…う?」


「やってやるから…」

一舞
「…うん…お願い」


「痛くは無いから…力抜いてじっとしていろ」

一舞
「う…うん」


「…もっと、力抜け」

一舞
「え…こう?」


「…あぁ…それでいい」





「……………うわ…」


「…なんか…言葉だけ聞いてっとエロい」


「蓮が言うと特に…」


「うるっせーな」

一舞
「へ?何?終わった?」




 …とにかく。

 一舞の耳には、蓮が開けた穴が4つ出来た。

 …なんか悔しい気がするのはなぜだろう?










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