間違ってる(TrinityB予告編その2) |
翔 「んー・・・ダリぃ」 三年生のクラスは受験を目前に控えピリピリムード。そんな中での気怠いブロンド中学生は場違いそのものである。 ガラッ!! 純 「お!来とるやん!」 透瑠 「今日は来るよそりゃあ」 なんとも不安な情報を耳にしてしまった純は朝からそわそわ。翔が登校してくるのを心待ちにしていたのだ。 おかげで透瑠も朝から引っ張りまわされてヘトヘトなのだが、そんな心配など知らない翔は、自分の席にダラリと座った状態で大きな欠伸をしていた。 純 「おい、翔。昨日お前何してたんや?」 翔 「・・・はぁ?」 純 「なんやどっか泊まり込みしとったて聞いたで。どないやねん」 翔 「・・・あぁ。透瑠か。お前マジ口軽いのな」 透瑠 「つーかもう少しオブラートに包むとか出来ないのかなーこの関西の人は」 純 「まあエエわ。ちょ、付き合えや」 翔 「・・・やだ。眠い」 純 「はぁ!?朝やぞ!目ぇ覚ませや!」 翔 「目は覚めてるけどさぁ・・・俺、寝不足で・・・・・・・zzzzz」 純 「寝んな!!!」 居眠りするブロンド頭を一つ叩くと、その長身の体を持ち上げる。 持ち上げられた方はと言えば、まったく協力の意思も見せず、そのまま再び眠ろうとしている。 透瑠 「純。無理だって。こうなった翔はどうあっても寝るから。たとえ爆弾が落ちてこようと寝るから」 純 「なーっ!起きろー!」 翔 「zzzzz」 純 「寝たらアカーン!寝たら終わりやぞー!」 透瑠 「・・・遭難でもしてんの?」 翔 「zzzz」 もし遭難中であったなら、確実に翔の人生は終わっているだろう。とはいえ此処は平和な義務教育の場である。 純 「あー・・・もー。重いわもー・・・」 透瑠 「だろうねー」 純 「透瑠も運ぶん手伝って?」 透瑠 「やだよー。てかさぁ、俺に力仕事させようなんてよく考えられるねぇ」 純 「あーそーやったわ。お前《貧弱くん》やったな」 透瑠 「あ、それなんかムカー」 翔 「んー・・・純ー・・・保健室まで運んでー・・・」 純 「なんでや!起きてんねやったら自分で行けやもー!」 透瑠 「わー、甘えてるー。きしょーい」 翔 「冷たいなー純は・・・ご褒美あげるからさぁ、頼むー」 純 「!!」 そう言って純に顔を近づける翔を寸でのところでかわすと、その長身を椅子に戻した。 純 「あっぶな・・・!!!」 透瑠 「あははははっ、デジャブかと思った」 翔 「・・・お母さんには手なんか出しませんって。ふっ・・・あ、実花ー。丁度よかった、膝枕してー」 純 「・・・お、お母さん?」 透瑠 「純が、お母さんみたいだねってことじゃなーい?」 純 「・・・」 透瑠 「俺も同感。ふふふっ」 純 「せめてお父さんにしてくれや・・・性別間違っとるがな」 通りすがりの女子に膝枕をしてもらいながら、翔はすやすやと眠りはじめた。 親友からお母さん扱いをされてしまった純は、すごすごと教室を後にするのだった・・・。 |