失恋事情と事件発覚(TrinityA参照&TrinityB予告編)
2012/01/25





「なあ、隣のクラスの子に、お前のこと紹介してくれ言われたんやけど」


 昼休みの屋上は専ら三人のオアシス。今日もウダウダと時を過ごしている。


透瑠
「熱出て怠いよーって唸ってる透瑠ちゃんに向かって、どうしてそういう面倒な話題を持ってくるのかな純くんは」


 瑠璃さんという心の拠り所を失った透瑠は、保健室には行かなくなった。

 なんでも後任で入って来た保険医はかなりの高齢男性。消毒薬と入り混じる加齢臭を通り越した老齢臭が、どうにも体調の悪化を招くと言って近寄りもしないのだ。



「なんでなん?ええやん。可愛い子やで?」

透瑠
「中学生なんかに興味無いしー」


「は?自分かて中坊やないか」

透瑠
「だって、そんな誰かに紹介してもらわなきゃ彼氏も作れない子なんてさ、一から開発しなきゃいけないんだよ?ヤッても楽しくなさそうだもん」


「・・・そんだけ元気あるんやったら体育サボんなや」

透瑠
「サボってんじゃなくて、学校側がウチの親から命令されてんの。手に怪我でもしたら大変なんだってさー」


「・・・ほー」

透瑠
「それはそうと、純カノとは上手くやってんのー?」


「・・・」

透瑠
「ん?」


「それがな・・・」

透瑠
「うん」


「もう辛いから別れよう、って言われてん」

透瑠
「あらら」


「せやから、わかったて言うたった」

透瑠
「男らしいねー」


「めっちゃ泣いたけどな。一人で」

透瑠
「あははっ、可愛いね。純くん」


「お前と一緒や」

透瑠
「んー・・・それなんだけど、ちょっと聞いていい?」


「なに?」

透瑠
「アレね?」


「ん?」

透瑠
「もしかしたら、俺の子なんじゃないかと」


「!!」

透瑠
「密かに考えてたりするんだけど・・・どう思う?」


「・・・」

透瑠
「・・・」


「・・・そんなヘビーな疑問ぶつけんといてー」

透瑠
「あれ?無理だった?」


「俺には無理・・・翔やったらサクッと答えてくれそうやけど」

透瑠
「そうかー・・・でも翔に聞くのは嫌だなー・・・」


「つーか翔、遅ない?」

透瑠
「あー、今日はたぶん来ないよ」


「え、なんで?」

透瑠
「今日ってか昨夜は確か・・・お得意様のお姉様のところに泊まり込みのはずだから」


「・・・」

透瑠
「ん?」


「・・・」

透瑠
「なに?」


「今、なんかおかしい事言うたな」

透瑠
「そ?」


「アイツ・・・なんかマズイ事してるんちゃん!?」

透瑠
「えー?知らないよー?」


「は?知らん奴がなんでそないに詳しい事言えんねん!コラ!吐け!」

透瑠
「いやーっやめてーっ熱上がるー!ふははははっ♪」



 じゃれ合う姿は年相応なのに、その話題が可愛くないTrinity。

 いったい翔にはどんな秘密があるというのか。

 透瑠の疑問は解明されるのか。

 純にはまた彼女ができるのか・・・。


 甲高い笑い声と、怒鳴る関西弁が響き渡る屋上。

 のどかなお昼休みは過ぎていった・・・









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