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広夢 「ちょっと慎!なんか一舞が来てんだけどどゆこと!?」 頬を赤らめて物陰に隠れ、切羽詰まった声で親友に怒鳴る彼は、実は困っている。 可愛い後輩が仕事を手伝ってくれるのは嬉しいが、とにかくその姿が問題だ。 ホストのような白いスーツの胸元を大きく開けた格好で、片っ端から女子に声をかけていく彼女。 一舞が来るまで女子から相手にもされていなかった彼にとってそれはとても頼もしい助っ人だが、とにかく目のやり場に困るのだ。 慎一 『どういうことも何も、居場所が無いらしいんだよね。ほら、ちょっと高身長なばっかりに寂しくなっちゃったみたいで』 広夢 「えー?・・・だって綾でしょ?衣装の発注ミスったりする?」 慎一 『いや、それは無いと思うけどさ。一舞って何故か恨み買いやすいから、誰かが悪戯したのかもしれないし』 広夢 「誰かって、誰よ?」 慎一 『知らないよそんなこと。とにかくおかげでコッチもかなり忙しくなってきたから。後は任せたよ』 広夢 「うへー・・・まじかー・・・」 通話を一方的に切られた彼は、無意識に大きなため息を吐いた。 忙しい時の慎一ほど絡みにくいものはない。もう相手にはしてくれないだろう。そう理解して、諦めて持ち場に戻ろうと振り返ったそこに、知り合いの姿を見つけた。 広夢 「あ」 司 「頼むって、ちょっと案内してくれるだけでいいんだからさぁ」 一舞 「見てわかんない?忙しいの。ほら、他にいくらでも余裕ありそうな人居んじゃん」 司 「だからー。キミがいいんだってば俺はー」 ヤス 「ちょ、困ってんだからやめなって・・・」 司 「うっせーな。お前ちょっと黙ってろよ」 ヤス 「恥ずかしいことすんなよもー」 広夢 「・・・」 これは明らかに《ナンパ》というやつだ。 しかも自分の知り合いが、自分の後輩をナンパしている。 招待したのは自分だが、この場合、止める役目も自分なのだろうか。 とにかく更に面倒な状況に頭を抱えつつ、持ち場に戻る。 ?? 「おいコラ!ウチのもんナンパしとるんは何処のどいつや!」 と、そこに響いた関西弁。 広夢 「あ、祐弥」 血相を変えて現れた同級生は、何時にも増してご立腹な様子だ。 祐弥 「あん?広夢ー!お前またサボっとったんかー!お前のせいで一舞がナンパされとるやんけ!!」 広夢 「いや・・・あのね?」 司 「おー!広夢ー!お前ここに居たんだなぁ!」 広夢 「あぁ、うん。い、いらっしゃい」 祐弥 「はぁ!?お前の客か!」 ヤス 「どうも初めまして。ごめんね、なんか」 広夢 「ちょっと司くん困るよ、後輩ナンパされちゃー」 司 「だって可愛いんだもん。それにセクシーだし?」 祐弥 「おー!おいおいおい!お前!今めっちゃエロい目ぇで見よったな!」 司 「はぁ?出してあるもん見て何がワリィんだよっ」 祐弥 「見たらアカンもんもあんねや!つーかその目ぇ潰したろか!」 司 「あぁ?なんなのお前さっきからさぁ」 一舞 「ちょっと祐弥くん、言い過ぎ」 祐弥 「何がやねん!こういうやつはこれくらい言うったってええんや!つーかお前も仕舞えや!どんだけサービスしとんねん!」 一舞 「な!怒鳴らなくたっていいじゃん!」 祐弥 「そら怒鳴るわアホ!」 司 「俺を無視して喧嘩始めんのやめてくんねー?」 祐弥 「やかましわ!去ねや部外者!」 広夢 「ちょっと!俺の客だよー!?」 祐弥 「知るか!お前の監督不行き届きやないかボケが!」 ヤス 「ちょ・・・ちょっと落ち着かない?」 祐弥 「あぁ!?誰やお前!入ってくんなや、いてまうぞ!」 司 「おい、コイツまで巻き込むんじゃねーよ関西ヤロー」 祐弥 「やかましい言うてんねん!エエ加減にせんとその口ピに縄つけて市中引き回したるで!」 広夢 「うわ、何つーことを・・・」 祐弥 「なんやったら鼻血でパチャパチャさしたろか?」 司 「喧嘩中に面白いこと言おうとすんなよめんどくせーな・・」 ヤス 「もとはと言えば司が悪いんじゃん・・・」 一舞 「鼻血でパチャパチャ・・・?」 広夢 「要するに、パチャパチャできるくらい鼻血出させるよってこと」 一舞 「・・・うわー」 祐弥 「とにかく!お前は部室戻って着替えんねん!そないなカッコでうろうろしたアカン!」 一舞 「えー!」 さんざんお客に絡んだ挙句、それを放置したまま一舞の手を引いて戻っていく祐弥。 広夢は思った。 祐弥ってなんだかお父さんみたいだ。 司 「・・・あーぁ、せっかく可愛い子に出会えたと思ったのに」 ヤス 「余所に来て騒ぎ起こすの、もうやめてね・・・」 何はともあれ着替えてくれるのなら平和になるかもしれない。 いつか司と一緒にナンパツアーでもさせてもらおう。 「あーぁ」と傍らであくびをする友達に校内の見取り図を手渡すと、笑顔で手を振りあった。 **たまにあとがきとか書いてみる********* 祐弥と司を絡ませたくて浮かんだ話ですが ついでにw とある芸人さんが使ってた「鼻血パチャパチャ」を使いたかったのでこんな感じw 失礼しましたw ************************* |