ハラハラ学園祭(1)ホスト篇
2011/10/07




「張りぼてミラーボールって・・・学祭っぽくていいよね。ふふ」

慎一
「学祭の予算内でやるにはこんなもんでも立派な方です。っていうか彰さん何しに来たんですか」


「ん?ホストと言えば彰さんだよ?知らないの?っていうか大先輩が遊びに来たんだから珈琲くらい煎れてよ」

慎一
「知りませんよそんなこと。部外者に飲ませる珈琲なんかありません」


「ふっ、あははっ!お前、翔の次に面白いよ。くくくっ」

慎一
「・・・」


「あ、怒った?怒ったの?ふふふ。怒った顔も可愛いねぇ慎ちゃんは」

慎一
「いい加減にしないとマジで殴りますよ大先輩」


「おほー、こわ。ふははっ」


 いよいよ学園祭本番。

広い広い校舎内はアチラコチラで工夫とユーモアを凝らしたテナントが建ち並んで、賑わう人々のざわめきが穏やかな空気の中に響いている。


 バンド部の部室もその一つ。

 普段は部員や生徒会役員以外の立ち入りが禁止されたこの部屋も、部活ごとの出し物として企画されたセッティングできらびやかに装飾が施され、来客を待っているのだ。


慎一
「それより俺が言いたいのは、ホストになる気満々な出で立ちで何をしてんだってことです」


「ホストしに来たんだけど。ダメ?」

慎一
「ダメですよ。何言ってんですか」


「大人しくしてるから、仲間に入れてよ」

慎一
「困ります。だいたい本気でシャンパンとか持ち込まないでくださいよ。未成年主催のイベントですよ?」


「え?これノンアルコールだよ?だめ?」

慎一
「・・・見せてください」


「はい」

慎一
「・・・」


「・・・」

慎一
「おもいっきりアルコール表記あるじゃないですか!」


「6パーなんて無いのと一緒だよ」

慎一
「6パーでも0じゃない限りノンアルにはなりません!充分酔うパーセンテージじゃないですか!馬鹿じゃないすか!?」


「大先輩に馬鹿は無いだろー。ふははっ」


「まーた新しい遊び思い付いたんですか」


「あ。あれ?なんで翔は白スーツでやる気満々なの?」

慎一
「翔さんは一応、今は先生やってますし。元々はバンド部のOBですからね」


「俺は違ったっけ?」


「バンド部が本格始動した頃には卒業してたじゃないですか」


「あ、そうか。学が制服着てやってんの見てたから勘違いしてた」


「学さんは立派な留年組です」


「とは言っても、先生まで混じること無くないか?ズルいよお前」


「俺がそんなに乗り気に見えますか?」


「じゃあなんで?」

慎一
「俺が生徒会長の権限で命令したんです。売り上げに貢献しなさいって」


「・・・生徒会長ってそんな偉いの?」

慎一
「教頭と同列の権限があるんですよ。翔さんのおかげで」


「・・・はぁ」


「あー・・・過去の栄光に足元掬われたんだ?ふはっ」

慎一
「とにかく、お客じゃないなら帰ってくださいよ」


「じゃあ慎ちゃん指名するから遊んで?」

慎一
「指名は女子限定です」


「慎一。彰さんに言うこと聞かせようなんて無謀なこと、諦めたほうがいいぞ」

慎一
「じゃあ野放しにするんですか?危険ですよ」


「いくらなんでも犯罪まで犯さねーって。それより問題は蓮だろ」


「ははっ、来る客みんな追い返してるね」

慎一
「・・・」



 新部長の悩みは尽きない。

 学園祭はまだ始まったばかりである。







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