高2男子親睦会(2)
2011/09/10




ヤス
「そういえば予定って、もしかして彼女との約束だったりする?」

慎一
「へ?」

 司が自慢の喉を披露する騒がしいボックス内。
 ヤスは、先ほどの慎一の言葉を思い出し、アイスティー片手に問いかけた。

 問いかけられた慎一はというと、そんな事はすっかり忘れていたようで、歌本を捲る手を止めて間抜けな顔で振り向く。

広夢
「慎一んとこは約束なんかしないから大丈夫だよ」

慎一
「は?」

ヤス
「そうなの?え、でも、ってことはやっぱり彼女の何かだったんじゃないの?」

慎一
「違うよ。いや、違わないけど。とにかく約束してたらコッチを断ってるから」

ヤス
「そう?だったら安心だけど」

広夢
「ヤス君は優しいなー。イケメンで優しいって最強だよね」

慎一
「ホントだね」

ヤス
「やめてよ・・・司には草食だ草食だってバカにされてるんだから」

広夢
「いや草食系ってなかなかモテるらしいじゃん?」

慎一
「広夢はガッツリ肉食系だから該当しないね」

広夢
「とか言ってる慎一も肉食じゃん。あ、でもリア充だもんねー。ズリィよなー」

慎一
「ズルいとかズルくないとかの問題かな」

ヤス
「彼女、どんな子?」

慎一
「・・・あー、んーと。ちっちゃくて派手だけど、真面目で賢くてなんか凄い子」

ヤス
「へぇー」

広夢
「完全にノロケた!誉めすぎ!」

慎一
「ヒトの彼女を何だと思ってんの?お前失礼だよねー。俺より先に告っといてさぁ」

ヤス
「マジで?」

広夢
「あ!バラすなよー!」

慎一
「広夢が悪いんじゃん」

広夢
「いいなー。つーかこの際だから言っちゃうけどー。本当なら俺が先に脱童貞の予定だったんだぞー」

慎一
「・・・童貞だってことを隠す気も失せたんだね」

ヤス
「あはは・・・」

慎一
「まぁ、それは勝手だけど、ウチの夫婦生活を想像すんのだけはヤメテね」

広夢
「ばっ!いくらなんでも想像なんかしねーよ俺だって」

ヤス
「広夢くんは好きな子いないの?」

広夢
「今はいないなー。可愛い子見たら全員と付き合いたいって思っちゃうから。んふっ」

ヤス
「あー・・・」

慎一
「だから彼女できないんだよ」

広夢
「じゃあ逆に聞くけど、どうすれば彼女できんの?」

慎一
「先ずは本気で好きになんないとダメでしょ」

ヤス
「根本的な問題だね・・・」

慎一
「顔だ体だって言ってるうちは無理だよ。よっぽどのイケメンじゃなきゃ」

広夢
「えーっ!?だってビジュアルは大事じゃーん!」

慎一
「自分が並な見た目なのによく言うよ」


「ホントになぁ」

広夢
「わ!ビビったー!」

 突然、背後からマイクを通した司の声が響き、広夢の体が跳ねた。


「誰も俺の歌聴いてねーのな」

 拗ねた様子で甘いカフェオレを口に含みながら、俺の話も聞いてーと三人に割って入る。

 もはやカラオケどころではない男子会。

 はたして広夢がリア充になる日は訪れるのか・・・?

慎一
「広夢はヤス君を見習ったほうがいいよ」

広夢
「例えば?仕草?物腰?」

慎一
「精神面」

広夢
「・・・あぁ」


「どうせなら俺にしとけ。ひひっ」








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