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ゴチンッ!! 洋 「!!?」 廊下から聞こえてきた衝撃音に驚いて、思わずドアの方へ顔を向ける。 だけどそれが何の音なのか知らないわけじゃないんだ。 ゴト!・・・ガタン!! ゴロロロロ・・・ドンッ! 洋 「・・・・」 襖を隔てた隣の部屋からは、ガタガタと物音が響き続けてるわけだけども。いい加減にしてくれないと困るわけでね。 スラッ! スタンッ! 洋 「蓮、うっさい」 蓮 「・・・あぁ、なんだ居たのか」 洋 「居たのかーじゃねーし。つーか何この惨状・・・」 蓮 「・・・」 いつも几帳面なほど整頓されていた蓮の部屋。この数週間のうちに見るも無残な有様に変貌している。 あの日、大暴れしたのもその原因の一つかもしれないけど、だからって原型を留めていないにも程がある。 洋 「・・・いい加減さぁ、母ちゃんに謝って眼鏡買ってもらえば?」 何が気に入らなかったのか大暴れの挙句、自ら眼鏡と部屋の備品を破壊してしまったのがまるで昨日のことのようで。それ以降、毎日そこかしこに頭や体をぶつけて歩いては小さなケガを繰り返す有様。 母ちゃんが怒っているのは言うまでも無い事で、それに対して全く反省の色を見せない困った奴なのだ。 思春期だからって、もう少し素直になっても良さそうなもんだけどな・・・。 蓮 「・・・要らん」 洋 「要るだろどう見ても。動く度にアチコチぶつけてんじゃ、マジでそのうち大けがすんぞ」 蓮 「・・・大きなお世話だ。貴様には関係ない」 洋 「関係あるんですー!毎日毎日コッチは迷惑してんだよ!騒音被害だバーカ!」 蓮 「なら出ていけ」 洋 「っはぁー!?何の権限があってそういうこと言うかねーお前はもー!」 蓮 「・・・・」 洋 「はいはいわかりました。そんなに涼と一舞のラブラブっぷりを見たくないわけね」 蓮 「あ?」 洋 「ちょっとどいて」 蓮 「な!?」 洋 「ほら、ベッドの上にでも居なさいよ危ないんだから」 蓮 「・・・・?」 洋 「とりあえずこんなカオスな部屋じゃ何時ケガしてもおかしくないからな。優しい洋ちゃんが片づけてあげる」 蓮 「・・・ほう」 洋 「ついでに隠してあるエロ本も、報酬として頂くかなー」 蓮 「そんなもの有るわけないだろ」 洋 「え?無いの?」 蓮 「・・・・」 洋 「ホントに?」 蓮 「・・・・・・」 洋 「ホントにホント?」 蓮 「悪いが興味が無い」 洋 「・・・・」 蓮 「・・・・」 洋 「興味無いわけ無いだろ、ヤ(ピー!)ンなのに」 蓮 「・・・また低能なことを」 洋 「だってそうじゃん」 蓮 「・・・そんなもの、想像でヤッて何が楽しいんだ?」 洋 「・・・あぁ。なるほど」 蓮 「まぁ、お前には必要なのかもしれないが?残念だったな」 洋 「・・・まあね。蓮みたいに手当たり次第じゃないから俺」 蓮 「・・・・」 洋 「えー?ってことは報酬ナシってことじゃんつまんねー」 蓮 「ふっ・・・」 洋 「とにかく、片づけてやるのは今日だけだからな。ちゃんと母ちゃんに謝れよ?そんで眼鏡買ってもらえよ?」 蓮 「・・・考えておく」 パラパラと何かの専門書を開きながら、ベッドの上に避難した蓮はマッタリしている。 (つーかお前、見えねーんじゃねーのかよ) そうおもった瞬間、バサリと音を立てて本が降ってきた。 洋 「・・・・」 蓮 「見えん・・・!」 洋 「・・・」 まったく世話が焼けますよねー。 |