鍛えられた訳@ |
合宿から戻ってすぐ。夏休み終了まではまだ一週間はあろうかというとある日の朝。 突然、弥生ちゃんからの出動要請が届いた。 翔と香澄、それから綾に連絡を入れてから、学ちゃんのマンションへ向かう。 小学生の頃はママが帰れない時によく寝泊まりしていた家。いまだに合い鍵を持っているので、まるで自宅かのように勝手に入る。 そこには、風邪を引いて熱があるらしく、床に伏せった弥生ちゃんの姿があった。 一舞 「…大丈夫?…すずちゃんは?」 弥生 「保育園……悪いな…せっかくの夏休みなのに…」 一舞 「何言ってんの…そんなこと気にしてる場合じゃないし。あたしは弥生ちゃんの妹みたいなもんなんだから、遠慮しないの」 弥生 「…ん」 一舞 「何か食べた?」 弥生 「…食いたくない」 一舞 「わかった…食欲出るまでは仕方ないね。とりあえず水分だけはとれるように用意しておくね」 弥生 「…あぁ」 熱で弱っているせいかいつもより声に張りがない。きっと気弱にもなってるだろう…。 一舞 「とにかく先ずはゆっくり眠って…あとは、あたしがやるからね」 あたしはそう言って寝室を出ると、弥生ちゃんの代わりに片付けと料理、そして手をつけられなかったらしい洗濯物に取りかかる。 …数時間後。 すずちゃんを連れて、学ちゃんが帰ってきた。 学 「おう。悪いな一舞」 一舞 「おかえりー」 鈴香 「かずちゃん、たらいま」 一舞 「おかえりすずちゃん」 とくにいつもと変わらない様子で、だけど本当は心配だったのだろう。学ちゃんはまっすぐに弥生ちゃんのもとへ向かっていく。 ふと目線を下げると、実に不安そうな顔をしたすずちゃんが、あたしを見上げていた。 鈴香 「やよいちゃん・・・おねつさがった?」 一舞 「うん、たくさん休んだから少しラクになったみたいだよ」 鈴香 「…はゎ…よかった」 一舞 「すずちゃんも心配だったのに…ちゃんと保育園頑張れて偉かったね」 鈴香 「うん!」 すずちゃんの安心した笑顔に癒される。 しばらくして、少し安心した様子で学ちゃんが寝室から出てきたかと思えば 学 「風呂入っていいか?」 なんて言い出すわけで・・・。 一舞 「・・・・・うん、タオルと、それから特にパンツはちゃんと自分で用意してね」 学 「そんなもん出てからでいいだろ」 一舞 「一応言っておくけど…この家には今、未成年の女子が2人居るってことをお忘れ無く」 学 「・・・・・・それがどうした?」 一舞 「女子の目を気にしろと言ってんだよ」 学 「…面倒くせーな。お前ら2人とも俺が風呂に入れてやったのに今更だろ」 (…今更とかそういう問題じゃないんだっての) モザイク処理が出来ない以上はせめて自主的に隠してもらわなければあたしは嫌だ。 学 「全裸もパンイチもたいした違いはねーって」 一舞 「相当違うよバカだね」 この人には恥ずかしいとかそういった感覚が無いのだろうか。 鈴香 「がっくん…」 学 「ん?」 鈴香 「はだかわ、けいさつにつかまるんだよ…」 学 「・・・・・」 鈴香 「がっくんがつかまえらえたら、すず…かなしいよ」 学 「……………って!自分の家の中では捕まらねーから安心しろ」 一舞 「あたしが通報するかも」 鈴香&学 「えぇっ!?」 一舞 「年頃の娘の目の前に変なモノを晒すのは、変態以外の何者でもないよね?」 学 「………変なモノ」 一舞 「…わかったら、パンツ出して来い」 学 「……わかったよ」 …っていうか、下着だけで彷徨かれるのも本当は嫌なんだけどね。 慣れって怖いな…。 ・・・・・・・つづく |