無題
2015/08/05





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今日は特に予定も無く、夜のライヴまでの時間をどう過ごすかと、朝からプランを練っていた。

せっかくだから、このところの忙しさでなかなか手を付けられなかった本でも読もうかと、本の山を前にして考えていたところに、洋の奇声が飛び込んできてウンザリする。

まるで奇行種さながら。

ドタバタと階段を踏み抜きそうな勢いで二階に上がってきたかと思えば、襖の向こうから勢いよくドアを開閉する音と鼓膜を劈くような破壊音を響かせ、テンション高めに大掃除を始めたのだ。

いったい何事だ。普段から整頓しておけばそこまで大騒ぎなどしなくて済んだだろうに。

そう思いつつ、多少の物音など日常とばかり、ベッドに腰を下ろし、本を開いた。

次の瞬間。

盛大な破裂音を響かせ襖を蹴破る勢いで俺の陣地に侵入してきたのは、この際まあ許そう。いつものことだ。

だが、何故。

俺が家を追い出されなければならない。



宛ても無く外に出たところでまったく腑に落ちないのは当然。

たまたま手に持っていた本を持ち出せただけ良いかと、先ほどの経緯を振り返ってみる。

そういえば、勢いよく捲し立てていた洋の言葉を思い返せば、ところどころに美樹の名前が混じっていた気がする。

なるほどそうか。

親の居ぬ間に女を連れ込むわけか。

と、ここまで考えて納得した。


なるほどな。

あの家にはますます俺の居場所がなくなっていくな。

とはいえ、なかなかいいタイミングで丁度いいメールも入ったことだし。

今回のことには目を瞑ってやろう。


今回だけな。






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