「勉強を教えてほしい?」


この通り!!と二人して頭を下げるその光景を見て、私は背中に嫌な汗が伝うのを感じた。何か面倒なことに巻き込まれている気がする。


▽▽▽


話も聞かずに門前払いするわけにもいかなかったのでとりあえず詳しく聞いてみると、今度バレー部で東京への遠征があるらしい。しかしその日程が期末の補習と被っていて、期末で赤点を出すわけにはいかないと。最近影山くんが珍しく授業で寝てなかったり、ノート貸してくれと言ってきて不思議に思っていたんだけど。そういうことだったのか。


「へえ〜東京遠征。合宿とかそういうのいいなあ」

「でも行けるかどうかは期末にかかってるんだよォ!!穂波さん助けて!」

「う、うーん…助けたいのは山々なんだけど……」


私は特別頭が良い訳でもないし、たぶん人に教えるのだって下手くそだ。そう素直に告げると日向くんは、だって穂波さん頭良いって影山が、なんて言うもんだから私は目を丸くした。え!?と影山くんの方を見ると何かまずいことでも言ったか?なんて感じのきょとん顔。そもそも私の成績とか知ってた?


「前に借りた数学のプリント全問正解だったし」

「……そうでしたっけ」

「そ。で、全部合ってたから写したのばれた」

「ぶはっ、ばれちゃったんだ」


正解して疑われるというのもどうなんだろう。つい笑ってしまうと影山くんの眉間のしわが深くなってハッと肩を竦ませた。怒られるかな、とおろおろしていたけど怒りは日向くんの方へ向かったようで。さっきまで私以上に笑っていた日向くんはガッと頭を掴まれている。いだだだだと唸るその姿は本当に痛そうで、私もそっと頭をおさえた。
今はバレー部のマネージャー(候補)やチームメイトに教えてもらってるらしいけど、それぞれ都合がつかないこともある訳で、回り回って私のところへ来たらしい。ちなみに担当教科は数学。


「んーーーまあ、たまになら…私の分かる範囲で……」

「本当!!?良かったああ!」

「じゃあこの問い分かるか?」


引き受けたとたん出された教科書の問題を覗き込んで、私はすぐさま頭を抱えたくなった。もう既にこの話を受けたことを後悔し始めている。二人して首を傾げているその問題は、今回のテスト範囲の基礎の基礎だ。これ本当私じゃ力不足じゃないですか。頬を伝う冷や汗を拭いながら、これは骨が折れそうだと心の中で独りごちた。あと普通に二人の成績が心配です。



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