「悪い、風紀委員とは付き合えない」


春は、一瞬にして過ぎ去った。















「何?」


「いえ、何でもありません」


雲雀さんは、明らかに不機嫌な顔をしたけれど、それ以上は突っ込まないで執務机の資料に目を戻した。


溜息が出る。
雲雀さんにではない。
私の心に、だ。


この春、何をどうしたのか、私は私の意志とは全く関係なく、風紀委員に所属することになった。
理由は至極簡単。
最凶風紀委員長様から推薦状が届いたから。
つまり、雲雀恭弥から直々に“君は今日から僕の下僕だよ”と宣告されたようなものだ。


そうして私は望みもしない委員会にまるで生贄のごとく捧げられたのである。


「手が止まってるよ」


「……すみません」


もう一度、小さく溜息をつくと、手を目の前に詰まれた大量の資料に伸ばした。


何をどうすればこれだけの量を滞納出来るのか。
確か昨日も同じくらいの量を仕分けしたはず。
だが、今の私にはある意味でこの量は嬉しかった。
仕事をしているうちは、嫌な記憶を思い出さなくてすむから。


つい先程、言われた衝撃的な一言を。





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