たまらずそちらに振り向けば、そこには制服のスカートを風に靡かせて、呆然と立ち尽くす君。
目を丸くして、驚いているのだと全身で表現している。


「……葉月」


そう呟けば、君にまで声が届いたみたいで。
慌てて走って。


そのまま、君には珍しく僕の胸元に飛び込んで来た。
何があったのか一瞬理解出来なかった。


ただ君が。
僕の背中に小さな手を必死に回して、何故か震えているのを胸元から感じた。
だから僕も。
葉月の背中に腕を回して、優しく頭を撫でてやる。


「急にどうしたの?」


そう言えば、僕は僕でも驚くくらいの優しい声が出ていた。
君も勿論驚いていて、僕と顔を合わせると何度も瞬きした。
そんな所も、堪らなく興味をそそる。


「あ……雲雀さんが、急に学校を休むので……」


慌てているのだろう。
顔が少しずつ赤く染まっていく。
不謹慎にも、美味しそうだと思った。


色々と言い訳する君の声を聞きながら。
僕は僕らしくもなく、葉月の肩に顔を埋める。
そうすれば、君の甘いシャンプーの匂いが、今並盛に居る事を証明してくれた。


「雲雀さん?」





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