こちらの反応を楽しんでいるのだ。


うろたえる葉月に痺れを切らしたのは雲雀。
グッと身体ごと動かして、伸ばす葉月の腕を引き寄せた。
男の力で。


「っあ!?」


バランスを崩した葉月の腰に手を回し、逃がさないとでも言いたいのか。
至近距離で彼女が見たのは満足そうに微笑む雲雀。


「うん、確かに受け取ったよ」


資料を確認して満足したのだろう。
あまりにあっさりと手から解放されて葉月は拍子抜けした。


──考え過ぎだっただろうか?


けれど、雲雀の一瞬動いた視線の先に気付いてしまい、葉月の心臓は痛いほどに鳴った。


そして。
それに気付いた雲雀も、ニヤリと笑い、見詰め返した。


「まさか……」


クスクスと目の前で笑う男に。
背中がゾクリと粟立つ。
手が再び腰に回されるのを、気付きながらも何も出来ない。


身体が震えていた。


「僕は僕が欲しいモノしか興味がなくてね」


小さな、囁くような声で続きを聞かされる。
耳に直接、その低めの声と息遣いまで。


“何かあったら僕の所においで”
と。





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