「年末年始はアルバイトに入るんです」


二人が面倒な誤解をする前に、と思い、聞かれる前に素早く自白する。
後ろめたい気持ちや理由があるわけではない。
何も、私が気にすることはないのだ。


「アルバイトって、此処?」


じろりと雲雀さんが視線を私の後ろに送る。
きっと後ろでは顔を真っ青にした店長が震えているに違いない。


「そうです」


「ふぅん、そう」


雲雀さんと骸さんのその鋭い目を見て、私は心の中で溜息を盛大についた。


昔からそうだが、どちらもやると言ったらやる人達だ。
私の年末年始のシフトを取り消すだけでは飽きたらず、最悪店を潰す可能性もある。
制服を理由に託けて裁判沙汰という手を取るかもしれない。


どう転んでも誰かに被害が及だろう。


正当な理由ならいざ知らず、アルバイトのシフトのせいで店の存続問題に発展するなんて悲しい。
なにより、私が辛いし恥ずかしい。


店長がシフト交渉に踏み切る前に、私はこうなることを予め予想していたのであろう、二人の獣に向き合った。





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