普段やり慣れているはずのコーヒーを出すだけでも、手が震えてしまう。
カタカタという食器。
それにクスリと笑う、獣二頭。
私の顔は緊張と恥ずかしさから火が出そうだった。
「ねぇ、その制服、スカートが短すぎない?」
──え?
突然振られた話題にぽかんとする。
今、何て言った?
雲雀さんの切れ長の瞳が、じろじろと遠慮無く降り注がれて──
「クハッ。何て所を見ているんですか、君は。でもそうですね、僕としてはもう少し短くても良いと思いますよ」
「君こそ何言ってるの。変態の意見で並盛の秩序を乱すのは許さないよ」
──いやいやいや!
制服のスカート丈に文句付けてる時点で大分変態だよ、お互いに。
なんて言えたらどれだけ幸せか。
弱者は沈黙するしかないのだ。
「葉月、これあげるよ」
溜息を瞬時に止めて、慌てて雲雀さんに視線を合わせると。
その手には、真っ黒な封筒に、見知らぬスペルが赤でプリントされた手紙が握られていた。