そこには、ニコリと胡散臭く笑う骸さんと。
ちらりと他の客を見る雲雀さんが。
バサリとコートを脱ぐ姿があった。
注文のコーヒーを二つ、店内の一番奥に案内した彼等の席へ運ぶ。
彼等が店内での飲食を希望だと分かると、店内は騒然とした。
店長は慌ててお客様に頼んで、一番奥の席を空けてもらい。
その付近に座るお客様にも、極力その席から離れた席を案内し直した。
勿論、雲雀さんが群れを嫌うのを考慮して。
そうして空いた席に優雅に着席する二人は。
客観的に見れば間違いなく美形の部類で。
男二人で可愛いカフェにいる姿は、まるで絵になりそうな、そうでいて少し異様な雰囲気を漂わせている。
互いに、その長身にぴったりと合わせたダークスーツを着こなし、持て余しそうなほど長い足を組んで。
クールな雲雀さんに、甘いマスクの骸さん。
モデルでさえ、こうも魅力的にコーヒーを待てるだろうか。
──だが間違いなくそこに座っているのは、危険極まりないマフィアなのだが。
「お待たせいたしました」