群れを咬み殺す所を想像し、楽しそうに笑う雲雀を見て、葉月はクスリと笑う。
勿論、それを見逃す風紀委員長ではない。


一気に気分を急降下させ、女子であろうと構わず睨み付ける。
が、それでも葉月は変わらずニコニコしていた。


「雲雀さんの、よく知る人ですよ」


誰か確認する必要はなかった。
彼女が「ね、草壁君」と雲雀の後ろに向かって話しかけたから。


「委員長?どうされたんですか?」


そこには、先程急いで下校したと思われる副委員長が間抜けな顔で立っていた。
急いでいた割にはリーゼントの乱れが見られない。


「教室が明るかったから心配して見回りに来てくれたの。流石、風紀委員長さんだね」


「そうだったんですか」


雲雀が何か口を出すより前に、話が勝手に進んでいく。
「待たせて悪かった」だの「お仕事お疲れ様」だの、挙げ句のはてには草壁の雲雀自慢が始まりそうだった。


相変わらずニコニコと話を聞く葉月と、厳つい外見からあまり想像出来ない優しい表情の草壁。


瞬時に嫌な予感が雲雀に走った。





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