起こした身体に抱き着かれた。
それもひどくゆっくりと。


強い力なんかではなく、少し動かせば振り解けるくらい、軽く。
手に力を入れて振り解こうとしたが、不意に匂った何かに手が止まる。


初めてきちんと出会った応接室で。
悪戯半分に仕掛けた罠に。
引っ掛かった葉月から感じたそれと、同じ匂いだ。


安心する、けれど独占欲を掻き立てるソレだ。


そこでやっと僕の中で合点がいった。


イライラしたのは。
君が僕より余裕を持って僕に接して来るから。


他の草食動物なら直ぐに引き離すのに、そうしなかったのは。
君だから。


「葉月、少し離れて」


核心に似た指名。
ぴくりと震えた君の身体に、それが真実なのだと告げられる。


じゃあ君と僕の関係は?
こんな風に躊躇いなく抱きしめられるような、ヘドが出るようなモノなの?


この、多分僕の家らしい、いや、家だろう空間に居る葉月。
僕の知る君より大人っぽい君。


僕等が大人になる頃には、お互いにこんなふざけた女子のママゴトみたいな事をする関係なの?


気持ち悪いほど、むず痒いような。





TOP


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -