「君、情報によれば暗記は得意なんだろ?明日までに間に合わせなよ。それが僕との取引だ」
誰からの情報なんて聞きたくない。
もしも京子やハルだったらなんて、疑いたくなんかないから。
だけれど、流石にいくらなんでもこの量を一晩だなんて受験生でも……。
そんな私の気持ちなんてお構いなしに“雲雀さん”と書いて多分“きちく”と読むこの男は悪魔の如く微笑んだ。
多分、出会ってから今までの中で一番楽しそうに。
「言っておくけど、これは取引だ。君が万が一失敗したなら、君の身柄は僕の報酬として僕のモノだからね」
(さぁ、人生で最大の試験を乗り越えてみせろ)