しばらく無言で長い廊下を担がれたまま歩いていく。
来た時と同じ廊下なのか、よく理解出来ないし大体、エントランスがどちらにあるのかさえ分からない。
聞ける、雰囲気でもない。


ある程度行った所のドアをふいに開き、中に入る。
必然的に私も入ることになるが、何が起こるか分からない恐怖に、もう一度カチンと身体が固まった。


カチリと閉まるドアの鍵。
そのまま進むと、案の定、嫌な予感は続いているのかベッドへと降ろされた。
驚くほど丁寧に。


「別に取って食ったりしないよ。君には仕事を頼みたいだけだから」


「え?」


その意外な言葉に顔を上げると。
打算を含んだ切れ長の瞳にぶつかる。
ニヤリと妖艶に微笑まれた、綺麗な顔に吸い込まれそうになったが、現実はそう甘くはなかった。


バサリ、と大量の紙が膝の上に散らばる。


「僕もパーティーに参加しなくちゃならなくてね。君にはパートナーになってもらう」


紙に書かれている内容は、全て見知らぬ男女の顔と、彼等の名前や職業、関係などの情報だ。
十センチは下らない厚みに、パソコンのフォントサイズを最小にしたのかといいたいほど、細かい文字の羅列。





TOP


×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -