「ねぇ、いい加減起きなよ」


時計のアラームより怖い声が聞こえて、葉月がガバッと起き上がると、昨日出会ったばかりの男が、会った時と一ミリも変わらない服装で立っていた。


──朝だ。


いつの間に記憶を飛ばしてしまったのだろう。
そう、昨日の記憶を辿ると同時に恥ずかしくなり、頬が一気に赤くなる。
思わず自身を見て、パジャマを着ていたことに安堵した。


その一連の葉月の動きに、その抜けた頭の中で何を考え、確認しているのか、男──雲雀には手に取るようにわかる。
幼い反応にクスッと笑いが零れた。


だが。
雲雀はその笑いに思わず自身を見上げ、不安げな表情をする少女にゾクリと背中を震わせる。


葉月が。
あまりにも美味しそうな表情をしたから。


ギシリとスプリングの音を立てて、少女の横に膝を付く。
驚いて震え始めた少女の身体を無視して、フレンチキスより短く、おでこにキスをした。


「……ッ!?」


ぱちくりと、恐怖より驚きが勝ったらしい瞬きを確認して直ぐに身を引いた。
これ以上は──





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