女の子らしい部屋は電気がつけっぱなしで、先程まで葉月が此処にいたことを物語っている。
心なしか仄かにシャンプーの匂いが漂っていた。
雲雀は部屋に入ると迷うことなくベッドへと向かい、葉月をそこへ降ろす。
未だビクビクと震える瞳ともう一度視線を合わせると、迷うことなく少女の上に乗り上げた。
「や……です」
流石に状況を理解した葉月は、じわりと瞳に涙を浮かべ、ふるふると顔を左右に振る。
だが、その幼い仕草は彼女の意志とは反対に、彼を楽しませた。
一回りも二回りも雲雀より小さな身体。
彼が腕と足で葉月を跨げば、そこはまるで逃げる事の出来ない鳥籠のようにさえ見える。
「朝、言ったよね?仕事を熟した部下に“ご褒美”をちょうだい、ボス」
言うが早いか、雲雀はその幼い薄ピンク色の唇に自身のそれを重ねた。
「……ぁ」
ギュッと閉じられた瞳と、ゾクリとするような漏れた甘い声。
フレンチキスよりも短く、むしろ儀式的でさえありそうな口付けに。
葉月は顔を真っ赤に染め上げる。
ファーストキスだ。
そう頭で認識するよりも早く、再び雲雀が唇を重ねた。