キュッとパジャマの裾を握り締め、もう、怖がっていることを隠しもせず言葉を紡ぐ。
何とか、何とか雲雀の機嫌を戻そうとしていることさえ、彼からすればバレバレだ。


その真面目かつ懸命な努力に、大人に成長した今が盛りの肉食獣は思わず舌なめずりをする。


──悪くない。


なんて、隠しもせず大胆に雲雀が好色の視線を送るが、俯いて怯えている葉月がそれに気付くはずもなかった。


「それで。この程度の報酬で僕を雇ったつもり?」


わざと葉月の想像に合わせて、まるで機嫌の悪いように装う雲雀。
勿論、馬鹿馬鹿しいほど沢山の料理には機嫌を損ねていた所だ。


身体をビクッと傍目にでも分かるほどに震わせた少女を、グイッと力で引き寄せる。
突然のことで驚いたのか、葉月は声も出ないまま軽々と雲雀に抱き上げられてしまった。


彼女がぱちくりと大きな瞳を数回瞬きさせると。
その反応に満足したのか、雲雀は迷いなく足を何処かへと進めた。















間もなく辿り着いたのは、間違えようもない葉月の部屋。





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