訴えるように雲雀さんを見詰めると、何を思ったのか私の机まで近付いて来て、


「……っ!?」


机の横に掛かる小さなサブバックと私を抱えた。
やだこれ、恥ずかしい。
お姫様抱っこだ。


ふわりと浮かぶ浮遊感に困惑して雲雀さんを見ると、ふっと笑った。


──わあっ!
ほとんど見ない顔にドキッと心が跳ねる。
こんな時なのに。
皆がいる前なのに。


何時もなら文句を言う口も逃げようともがく身体も、今はそうはいかない。
お腹痛いし、漏れるのは嫌だし。


全てを生理のせいにして、大人しく雲雀さんの首に抱き着くと、彼は小さく笑って、


「行くよ」


と、優しくも拒絶を許されない発言をしてそのまま教室を後にした。


明日、何か皆に言われるかもしれない。
からかわれるかもしれない。
けれどこの選択は間違っていないと思えてしまうのは、単に雲雀さんにちょっとだけ慣れてしまったからだと思う。
…………うん、絶対。


応接室にホットココアが出来ていて、毛布も座布団も用意してあって。
「今日はずっと此処で僕の手伝いだから」と、座ったまま出来るような簡単な仕事があるのも、まだ、知らないまま。


今は雲雀さんのゆっくり打つ、鼓動を感じる。





女の子の日
(ところでこれ)
(一週間続くんですか?)






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