本当は知りたかった


穏やかな匣兵器を見ていると、ただのペットに見えてくる。
しかし、彼は歴とした武器であり匣リングの相方。
敵を全滅させる手段の一つなのだ。


外見とは裏腹に強力な攻撃力を誇るのだろう。
リングの主、ヒバリの為に。


「ねえ、ヒバリ。どうしてロールが必要なの?」


新しい兵器が生まれれば敵を追撃出来るだろう。
だがまた直ぐに新しい兵器が生まれ、過去の兵器は亡き物になる。
その力を手に入れて、何の役に立つのか。


戦い合い、奪い合い、それが一体何になるのだろう。


強力な匣リング。
それがもたらす兵器の世界は。


「知らないね」


「え?」


ヒバリの答えに驚いた。
黒の目が真っ直ぐ私を見る。
それは嘘とかごまかしとか、そういうものを表現しているのではない、と。


「君の答えは持ち合わせてない。僕は僕の意志でしか動くつもりはないから」


私の、答え?


「少なくとも僕はロールが必要だ。僕が選んだ道を進むためにね」


匣兵器を優しく見詰めながら答えられる。
ヒバリの道。
それはマフィアの道なのだろうか。
それとも違う道なのだろうか。


とても、興味がある。


そしてヒバリの道には匣兵器が、匣リングが必要なのだ。
それもかなり強力な。
そんな依頼を思い返した。


「……ありがとう、ヒバリ。私、頑張る。私もヒバリの道を知りたい」


「そう。君の匣リングがまともに使えるか、僕も楽しみだ」


立ち上がって手を出すが、ヒバリは答えてはくれなかった。
そういうのは嫌いらしい。


「私、ハヅキっていうの。ヒバリが忘れない内に、また会いたい」


「君がきちんと努力していたら、また会ってあげるよ」


にっこり笑った私の顔が、


ヒバリの艶やかに笑った瞳の奥に、見えた気がした





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