驚くくらい綺麗な赤い目だったこと。
「宝石みたい」
「あ?」
「綺麗な、目ですね」
恐怖が脳処理に追いつかないと、こうも冷静になれるのだろうか?
私は半分以上無意識に、そのとても怖い外人さんに手を伸ばしていた。
手が彼の頬に触れ、吸い込まれるように顔を近付けてしまう。
もっと近くで見てみたい、から。
「このクソボス!何しやがるんだ!!」
その声を聞いて、やっと脳が働いたらしい。
ビクリと身体が震えると、見ず知らずの男に今にもキスしそうな自身に恥ずかしくなり、顔が熱くなる。
ついでに全力で彼から離れた。
「あぁぁ、す、すみませっ!!」
「待て」
が、間に合わず手を捕まれた。
よくよく見なくとも、やはり映画にでも出てきそうなマフィアみたいな人。
ここで拳銃とか出てきて、殺されても文句言えなさそうな雰囲気。
「ホテルはまだだな?」
質問のはずなのだが、私の答えなど分かっているかのようだ。
「カス鮫、コイツを連れていく。荷物持って来い」
「なあ゙ぁ゙ぁ゙!?」