淡々とした落ち着いたハヅキの声。
何を考えているのか、少しの沈黙が訪れる。
慌てて、用事があるならば他のヤツに頼む、と断ろうとした。
迎えなんて誰に頼んでも構わない。


だが、断る言葉に被るように解答が返って来た。
それも、


「それは、ボスをお迎えに上がった後でも構いませんか?」


「は?」


「もう間もなくそちらに着くのですが、それから……あっ!」


という意味不明な内容。
しかも急にブツリと電話を切られた。


キョトンとするオレの肩にロマーリオの手が軽く置かれると、車のエンジン音が遠くから聞こえて来た。
ま、さ、か──


数分もしない内に、オレ達の目の前に止まった黒のベンツ。
見覚えが無いとは言えない。
それはキャバッローネの屋敷で毎日のように見る仕事用の、それだ。


ガチャリと運転席のドアを開けて、何事もないように優雅に降りたスーツの女は、当然の仕種で後部席のドアを開けてこう言った。


「お待たせいたしました、ボス。それで、どのような急用でしょうか?」


“今、急用が終わった”とは、とても言えなかった。














「何で迎えに来たんだ?」





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