しばらく海岸沿いに走っていたが、車は途中で小高い丘を登り。
止まる頃には、明らかにそこが何を目的にしている場所か、何となく理解してしまった。


真っ白な小さな教会。
少なくとも参拝目的ではない、はず。


「鈍い君でも分かるだろう?ほら、誰もいないから」


すっと差し出されるスーツケース。
見なくたって中身は分かる。


私はただ、無言でそれを受け取って、一人教会の中へ歩みを進めた。















「ワオ。想像よりは良いよ」


数分後。
純白のウエディングドレスを着た私は、漆黒のスーツを着た人の隣に立っていた。


どんな想像だ、とか、なんでサイズが合ってるのか、とか、聞きたいことは色々あるけれど、言葉が出ない。
だって、


「何で泣いてるの?そんなに嫌?」


「違っ……ど、して?」


涙と嗚咽で声が出ない。


「女子って、ウエディングドレスに憧れるんだろう?」


「日本に帰ったら白無垢で式を挙げるけどね」なんて耳元で囁かれて、ふわりと抱き上げられて。
普段、神父様が使う机に座らされる。





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