私を撫でる左手をそのままに、何か会話を続ける。


「うん」とか「そう」とかしか言わない会話から内容は理解出来ない。


けれど、ふいに止まった左手に反応して雲雀さんを見上げると。
ゾクリと嫌な悪寒がした。
グレー掛かった瞳から、さっきまでの優しい笑顔が、全て消えていたから。


ピッとまた機械音がすると、雲雀さんは上着代わりに学ランを羽織る。


「出掛けるよ」


そうして、私を今度は学ランのポケットに入れると、恐怖のジェットコースター再来だった。


けれど、今回はジェットコースター並のバイクの衝撃なんて怖くない。


もっと怖いのは。


雲雀さんに嫌われてしまったという、意味の分からない自己嫌悪だったから。





穴が空くんだけど
(嫌われるのが)
(どうして怖いの?)




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