今回だって、ほら。
笑いながら下げた私の頭を優しく撫でてくれる。


その優しさが嬉しくもあり、また、寂しくもあった。


雲雀さんは私が学級委員の“結城葉月”だと知らない。
ただの迷子の鳥“ハヅキ”なのだ。
ヒバードの友達、の。


人間に戻れば、きっとまた、ピリピリとして意地悪な最強不良の風紀委員長になってしまう。
こんなに優しくて素敵な一面を見ることは、もう、なくなってしまうだろう。


もう少し、雲雀さんの本当の姿を見ていたいのに。


「どうかした?」


私がずっと見詰めていれば、心配をしてくれて。
私が身体をその綺麗な手に擦り付ければ、まるで“そんなことしなくても此処にいるよ”と伝えるように、抱き上げて撫でてくれる。


雲雀さんの優しさに甘えるのが普通になって。
ドロドロに溶かされていくのだ。


その時。
その空気を割くように、何処からか曲が流れてきた。
“みーーどーり、たなーびくー”という、並盛中学校の校歌が。


「……やぁ、赤ん坊」


ピッと機械音がして、見上げるとそれは雲雀さんの黒い携帯電話だった。
──相手は、リボーン君。



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