ヒバードになってから、不思議なことばかりだ。
鳥になったからといって簡単に空を飛べるわけではなかったり。
意外に行動が制限されたり。
種類の違う鳥に告白されたり。
でも、それより驚いたのは雲雀さんのこと。
私の知っている雲雀さんは、最強不良の風紀委員長で。
よく分からない、彼独自の理由で生徒をボコボコにしていて。
近付けば睨まれるか、からかわれるかで。
だけれど、今の雲雀さんは全くの別人みたい。
突然現れた飛べない鳥を保護したり。
優しく撫でたり話し掛けてくれたり。
危険から守ってくれたり。
……笑いかけて、くれたり。
どっちが本当の雲雀さんなのか、わけが分からない。
現に今も、紺色のハンカチの上に私は座っている。
わざわざ出してくれたらしく、ヒバードはハンカチの上ではなく雲雀さんの肩の上だ。
──座布団の代わりなのだろうか?
緊張していた私に「此処で待っていて」と丁寧に降ろされたハンカチの上。
身体は相変わらず緊張で固まっていて、自分で言うのもなんだが、まるで置物みたいだ。
「本当、君は大人しいね」