「ピヨ」
「?……ああ、確かに間違ってるね」
「ありがとう」と言われて、つい嬉しくなる。
当たり前の事なのに。
「君は彼と違って話せないんだね。飛ぶのも苦手みたいだし」
ヒバードの事だろう。
ヒバードは頭が良いし要領も良い。
私なんて人間としてもまだまだなのに、鳥としてなんて、もっと駄目。
うなだれるように下を向くと、雲雀さんは何を思ったのか徐に立ち上がって「コーヒー淹れてくるから大人しくしてて」と言った。
──情けないなぁ。
雲雀さんが見えなくなると、一気に気分が落ち込んでしまう。
彼からすれば私は“結城葉月”ではなくてただの“迷子の鳥”なんだろう。
当たり前。
当たり前なんだ。
そんな時、不意に外からバサリというやけに大きい音がした。
ビックリしてそちらをみると、そこにいたのは見たこともない巨大な鳥が。
先程までヒバードがいたはずの桟に留まっていた。
『見ねぇ顔だな、お嬢ちゃん』
『あ、えと、はじめまして』
思わず癖で、ぺこりと頭を下げてしまう。
鳥は何が面白いのかクツクツ笑っている。
何となく恥ずかしい。