ゴクリと唾を飲み込んで、意を決すると。
何時もより短い足で机を力一杯蹴る。


が、


「ちょっ!?」


『きゃー!!』


現実はそうそう上手くいくものではないらしい。
ヒバードを見習って翼を上下に動かしたが、この身体はいうことを全く聞かず、フリーフォールのごとく地面に向かって落下していく。


──死んじゃう!!


恐ろしい風の音を聞きながら、生命の危機に身体が固まってしまった。


──もう駄目だ!!
そう半場諦めた時。
私の身体は何かにぶつかり、死への衝撃を免れる。


「大丈夫?何処か怪我でもしてるのかい?」


パチリと目を開けて見上げれば、そこには少し心配そうな雲雀さんが。
私の頭を優しく撫でてくれていて。
彼が助けてくれたのだと直ぐに理解出来た。


その手は温かくて気持ち良くて。
思わず身体をすりすりと擦りつけてしまう。
“ありがとうございます”という意味を込めて。


クスッと笑う雲雀さんが「マーキングのつもり?」と言ったのが聞こえたが。


否定する術を私は知らない。





おいで
(拒否権なんてあるはずない)



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