次から次へと溢れる疑問の中に、不意に、聞き慣れない声がしてピクリと身体が反応した。
誰、なんて野暮なことは聞かない。
何故なら応接室には私と雲雀さんとヒバードしかいないのだから。
だから、今の聞き慣れない声は──
『ヒバリは優しいよ』
ヒバードの声だ。
くりくりの瞳を私に向けて。
きっと、雲雀さんには「ピッ」という声でしか聞こえないであろう言葉。
『でも』
「おいでよ」
『おいでよ』
雲雀さんは知らないんだろう。
今、ヒバードと言葉が被ったのを。
けれど、私も知らなかった。
今の雲雀さんは何時もより何倍も優しい顔をして、私に手を差し出してくれているのだ。
見たこともない雲雀さんに、心臓がドクリと跳ねる。
──大丈夫かもしれない。
心臓に同調するように、脳みそも現金でプラス思考へ意向していく。
──今の私は間違いなく鳥で。
鳥ならば間違いなく飛べるはずで。
多分、この翼を上下に動かせば。
「おいで、葉月」
そう、優しく甘く名前を呼ばれれば。
何故か雲雀さんの元に飛びたくなった。