不安げにこちらを見る木ノ下サンと岩浪サンを確認し、改めて、問う。
「此処でかしら?それとも内緒話?」
「内緒話ですが此処でも構いません」
私は笑って、私が仕事をしている場所の前にある椅子を指差す。
「そう?良かったら座って。私は仕事をしながら聞くから」
「では遠慮なく」
そう言って、彼は椅子に座り私を見上げる。
真っ直ぐな瞳には何が写っているのか。
先に声をかけたのは彼だった。
「それで、俺に何が聞きたいのですか?」
私は驚いて手を止める。
日吉若は今何て言った?
「楓原先輩は俺に聞きたいことがあるでしょう?一体なんですか?」
「気付いていたのね。それなら私が聞きたいことも容易に分かると思うけれど?」
お互いにニヤリと笑う。
「アナタは傍観者ね?……それも、酷く性質の悪い、加害者寄りの」
「その通りです。今の氷帝を下剋上するのは面白くありませんから」
はっきりと、きっぱりと言い切る。
その言葉に迷いはない。
彼は彼のするべきことを知っているのだろう。