テニスボールの数を数えながら、ふと横目に二人を見れば、性格が出ているのか仕事にも個人差があるよう。


スピードがあるが、何処か雑な木ノ下サン。
それとは対照的に、細かく一つ一つが綺麗だが、終わりの見えない岩浪サン。
二人で一人といったように、その対照さは綺麗である。


──そういえば。


部が問題になりながらも、マネージャーの仕事に問題が起きていないということは、もしかしたら藍場サンは仕事が出来る人間だからなのではないだろうか?
彼女が仕事をしているとは、あまりにも考えにくい現実だが、決して少なくない量を、一年生の二人が徹夜をしてまでしているとは思えない。


──真実は何処にあるんだか。


状況は思ったより、複雑に入り組んでいるのかもしれない。


「楓原先輩」


一瞬身体が震える。


急に名前を呼ばれ、振り返れば、そこにいたのはいるはずのない、日吉若だった。


彼は何時もの無表情で真っ直ぐ私を見てくる。
その瞳から目を逸らさずに微笑んだ。


「どうしたの?練習は良いのかしら?」


「それより、今は貴女と話がしたいと思いました。良いですか?」



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