「天使様……」
私の傷の手当が終わる頃、部活の全体集合がかかる。
腰を上げ、コートに向かう私のジャージの裾が不意に引っ張られた。
振り向けば、悲しそうな顔をした岩浪サン。
「……結衣は本当に虐められているんです。信じてください」
その言葉に私は淡々と答える。
「それは私が決めることよ」
「楓原先輩は結衣の味方なの?」
「どうして?」
「結衣には優しいから」
「優しい人間が常に味方だとは限らないわ」
──そうでしょう?
世界はそんなに甘くはない。ゲームとは(二面性があるものである)
⇒木ノ下結衣side