私にマゾっ気があるわけではないし。
傷を受けるのも正直嫌だし。


「でも、私が此処にいるのは木ノ下サンと夢で出会ったからでしょう?」


「はい。……正直巻き込んでしまって、嬉しい半面、後悔しているんです。私の問題なのに……」


岩浪サンは手当てをしながら真剣な眼差しで私達の会話を聞いていた。


「そこで約束したからね。“願いを叶える”って」


まさかこんな事になるとは欠片も予想もしていなかったけれど。


「あれは“夢の中”って……」


「あら、此処は私にとっては夢みたいなものよ?」


“そうでしょ?”と笑う。


「でも、私は自分の目で見た事しか信じないから、残念だけれど、今の所木ノ下サンが本当に虐められているかは疑問だけれどね?」


意地悪く笑う。
木ノ下サンは私の性格をもう勘付いているのか、ニコリと笑った。


「あのルールはその約束を守るためのものよ。木ノ下サンから出来るだけ目を離させたかったの」


まぁ、本当の理由はそれ以外にあるのだけれど。
それを教えてあげるほど、私はお人よしではないし。




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