──うーん。
“あんな”と言われるようなルールを作っただろうか?
「“天使様を泣かせたら”っていう所です。事件を解決するなら“証拠を見付けた方が”だけで良いのではないですか?」
「あぁ。そんなこと?」
「“そんなこと”って!?その“そんなこと”でこんなに傷を受けているんですよ!?」
木ノ下サン、痛い。
切羽詰った顔を物凄く近付けて、手当て中の傷を思いっきり鷲掴みにされる。
もしかしたら、これが原因で怪我が悪化するのではないかと思うくらいに。
「結衣!?傷だから、もうちょっと優しく」
「あ!ゴメンなさい!!」
手を緩めてもらって分かったのだが、私の傷は相当酷いらしく血が絆創膏を赤く染めていた。
……今夜の晩御飯はレバーとホウレン草にしよう。
「天使様?」
「あぁ、悪いわね。ゲームのことだけれど……」
一瞬意識があらぬ方向に飛んだ所為か、二人して不安そうな顔をしている。
「……そんなに心配しなくても大丈夫だから。で、ゲームの事でしょ?確かにこの事件を解決するだけなら、あんな無駄なルールはいらないと思う」