──あの馬鹿。
結構本気で蹴ったな。
女性相手に手加減くらいしろよと、内心ケチをつけるが、表にはあえて出さない。
「岳斗、止めとき。相手にするだけ無駄や」
「そうだな」
そう言うと、二人はレギュラー用の更衣室に向かう。
その後ろ姿を見ながら、一言。
「向日クン。後悔しない程度にしなさいよね?」
その言葉が彼に聞こえたかはわからない。
「天使様!?何があったんですか!?」
マネージャーの仕事場に着けば、開口一番、木ノ下サンの絶叫から始まった。
「いや……色々?」
「あ、あの、私、救急箱取ってきます!」
岩浪サンは救急箱を急いで取りに行き、私を手当てする。
流石マネージャー。
怪我の対応は早い。
「ありがとう」
「いえ。私にはこれくらいしか出来ませんから」
悲しげに下を俯き応急処置をする。
木ノ下サンも同様に手当てをしてくれた。
「……あの、聞いても良いですか?」
木ノ下サンが気まずそうに聞いてくる。
「何?」
「あのゲームのことです。何であんなルールにしたんですか?」