『シニタイ、シニタイ、シニタイ』
「あーもう誰!?人の夢に勝手に出てきて縁起でもない事言わないでよね!」
響き渡るマイナス思考に痺れを切らして、夢の中の声の主に向かって叫んだ。
勿論実際に声に出した訳ではないが、声となっている所を考えると、流石、夢である。
『私の声、聞こえるの?』
少し震える怯えた声が響いた。
やはり声は相手の女性に届いたよう。
そしてそれは今までの相手の独り言を勝手に聞いていた証拠にもなった。
「聞こえますよ。ったく、コレ、私の夢の中なんだけどな。アナタ誰?」
『これ、私の夢なんだよ?あなたは誰?』
私は機嫌が悪い事を隠しもせず、軽く舌打ちをする。
「人の質問にはきちんと答えなさい。私は楓原綾。大学三年生。アナタは?」
『私、木ノ下結衣。中学一年生』
「で、木ノ下サン。何でそんな縁起でもない事言ってるの?」
『笑わない?』
いかにも不安ですと言いたげな返し。
たまらず、遠慮なく苦笑した。
「笑うかもね。面白いことだったら」