腕時計で時間を見ても、授業まで後二十分以上はある。
はてさてどうしたものか。
もう着替えは持っていないし、保健室にでも行くかと、考えた。


犯人の検討は付いているし、どうせ実行しているのは顔も見たことのない一般の生徒なのだろう。
実行している生徒も無理矢理サインさせるかと考えもしたが、正直、事が大事になって面倒を喰らうのは私だ。


仕方がないとはいえ、多分、この世界に私の住民票並びに保険証は存在していないはず。
もしかしなくとも、存在さえしない人間かもしれない。
そう考えると、私は今なんでこの学校に通えているのか?
違う疑問は増すばかりである。


「よう、姫サン。イイ眺めやなぁ?」


その声は、私の考えなど、少しも知らないのであろう、忍足クンであった。


「どうも。アナタもご飯は屋上で食べる人なの?」


ニヤニヤと隠しもせず笑いながらこちらにやってくる。


「普段は教室で食べるで?でも、姫サンが此処に来る所見たから来てみてん。そうしたら、中々おもろい事になってるやん?」



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