自分が此処にいることに驚いたのか、跡部さんは顔を合わせると怪訝な様子で自分を見る。
息を必死で整え、上手く回転しない頭を働かせた。
「今の放送、何だったんですか?あれではまるで、楓原先輩を庇っているみたいです!」
自分とは対照的に跡部さんはたいして動揺もせず、淡々と言葉を発する。
「確かにな。だが、生徒会長として、サインをしていない生徒に責任は負わせられない」
──確かに。
だけど本当にそれだけなのか?
それだけのために全校放送という手を使うのは……何か可笑しくはないか?
「お前は藍場の潔白を証拠したいんだったよな?」
ビクリと肩を跳ね上げ、真っ直ぐ自分を見る跡部さんに向き直る。
自分がしたいことは始めから決まっているから。
「はい!加奈先輩は被害者ですから」
そう、加奈先輩は被害者だから。
だから自分は守りたい。
「鳳、お前はお前に出来る事をしろ」
は?
跡部さんは、自分に理解出来ない事を言うと、教室へ行ってしまった。
残された自分には、質問に的確な解答をくれなかったため、蟠りしか残らない。放送(その真意は一体……?)
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