さて、中学生生活でも始めましょうか?
転校二日目の教室。
私は別に氷帝学園全体を敵に回したつもりは全くない。
寧ろ、面倒事は男子テニス部だけで手一杯だし“生徒”としては特に問題もなく目立たない存在を希望だ。
何度も確認するが、私の仕事は木ノ下サンを助ける事と氷帝学園男子テニス部を壊すことであって、決して氷帝学園全体の世直し──もとい生徒指導のアフターケアまでするつもりなどさらさらない。
ところが金を持ちあましている、お坊ちゃん、お嬢ちゃんにはそうもいかないみたいだ。
「お早う」
「……」
普通の中学生らしく、出来る限り明るくクラスメイトに挨拶をするが、完全無視。
ある程度予想をしていたとはいえ、転校生相手に中々失礼だと思う。
勿論人間としてもであるが。
それにしても、金持ちのネットワークは早いというか、ソツがないというか。
きっと、クラスメイトの大半はテニス部員でもないのに、昨日の事件を知っているのだろう。
……もしかしたら、今朝の出来事も知っているかもしれない。