「わ、私も……逃げたくないの。私も、やらなきゃいけないことがあるの。だから、結衣。私も、参加する」
震える身体で、一生懸命言った岩浪サン。
きっと彼女も何かあるのだろう。
私個人の意見としては岩浪サンが参加してくれることは非常に嬉しい。
……色々な意味で。
「俺も参加するぜ!加奈のことを守って見せる」
「自分もです!加奈先輩の無実を証明してみせます!!」
向日クンと鳳クンも署名する。
そして勿論……。
「俺も参加するわ」
忍足クン。
私に一瞬だが妖しい瞳を、まるで責任なんか感じさせないような嫌な瞳を向けて躊躇いもなく署名した。
「これで八人。他は?誰か参加するの?」
「俺がします」
それまで一切関心を示さなかった、日吉若だった。
理由は一切不明だし、彼が実際どの位置に立っているのか全く予想出来なかったが、まぁ、参加したいのだ。
させておこう。
邪魔になったら排除するだけ。
「ピ、ピヨも参加するの?」
「はい。藍場先輩も勿論参加しますよね?」
さも当たり前のことのように日吉若は藍場サンに問いかけた。
「え……?」
「藍場先輩も関わっている問題なんですから、先輩の無実を証明するためにも、参加すべきではないですか?」
まるで有無を言わせない発言。
「加奈、俺等が付いてるから安心して参加しろよ」
「そうですよ。先輩は自分達が守ります」
「そ、そうだよね。私も参加する」
藍場サンが署名した瞬間、日吉若が笑ったような気がしたのは、きっと気のせいではないだろう。
「他にはいないかしら?」
誰もが下を向き、関わりたくないが気になるといった表情だった。
──責任を持つ勇気もないくせに虐めを行っていたなんて、なんて傑作なのかしら。
私はただ淡々と、中学生という幼い少年達の情けない姿を卑下した。
そう、事件にさえならなければ虐めなんて日本全国何処でも起こっているもの。
でも、自分が虐められたくない一心で他人を虐めるのは愚か者のすることだ。
そんな馬鹿が沢山関われば関わるほど、虐めはエスカレートしていく。
──まずは馬鹿共の排除から…ってね。