「どうする?」
榊太郎もまさか自身がこんなに早く出る事になるとは思わなかったのであろう。
その表情は苦笑しか浮かばない。
「どうするも何もないわ。仕事はしているし、テニス部から離れてしまったら益々動きにくくなるだけだもの。マネージャーは続ける。但し……条件付きでね」
「条件?」
「そ、条件よ」
ニヤリと笑った。
「では他に連絡はないか?」
朝練を終え、ミーティングをする。
ホームルームが始まってしまうのではないか、と、ついつい時計を見てしまうのは学生の癖だろうか。
「特に無いようだな。では最後に一つ、楓原」
榊太郎が私を呼ぶ。
一部の部員を除くほぼ全ての部員達は、今度は何をやらかすのだろうと、少し嫌な表情をしていた。
その表情に面白さを感じるのは不謹慎か。
努めて冷静さを装う。
「私から一つ提案があります」
案の定、噛み付いて来たのはレギュラー陣。
「クソクソ楓原。何かを提案出来る立場にいると思ってるのか?昨日だってお前のせいで加奈が嫌な思いをしてんだぜ?まずは謝れよ!」
「それに関わることよ」