(跡部景吾side)


新しいマネージャーは中々食えない女だった。
楓原綾。
中学生にしては珍しく、この俺様並に……いや、もしかしたらそれ以上に頭の回転が利く奴だ。
認めたくはないがな。


あいつの目的は“壊すこと”。
それは真実だろう。


ただし、雰囲気というのは建前に過ぎないに違いない。


あんな、挑戦的な目をしておきながら、そんな可愛らしい考えを持っているほうが信じられないからだ。


では何を?


男子テニス部……いや、この氷帝?


何故?


確実に今氷帝で起こっている事を知っているからだ。


では監督が頼んだのか?


転校生に?
前から関わりがあったのか?
いや、話によれば木ノ下の夢に出てきた“天使様”とやららしい。


それが真実だとしたら、監督は頼んだのではなく頼まさざる負えない状況になったに違いない。


ではあいつは何者なんだ?


私は私。
それはそれ以上でもなくそれ以下でもないこと。
つまり存在はある。


俺様はあいつを信じるべきだろうか。
いや、信じられるのか?
突然現れた外部者を?


だが、だからといって藍場を信じることも出来ない。
証拠が不十分だ。


今はまだ決めるべき時ではないかも知れない。
情報と証拠が少なすぎる。


楓原綾に関してはまだ……。



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